海賊王を目指す少年とその仲間の冒険を描いた、週刊少年ジャンプの大人気漫画
『ONEPIECE』
そこには人生や日常生活においても非常にためになる教訓がちりばめられています
今回はワンピースのスリラーバーク編におけるウソップ対ペローナの戦闘から、“弱者”の戦い方を考えていきたいと思います
“弱くても強い男”
(引用:ONEPIECE.com キャラクター ウソップ)
まず初めに断っておくと、わたしはウソップのことを“弱者”だとは思っていません
わたしなんかより全然強いです(当たり前)。多分狙撃関係なしの殴り合いでも普通にボコボコにされます。だって彼、筋肉ムキムキですもん
決して折れない芯の強さや仲間の為に命と身体を張れる精神力も、尊敬しています
だからここでいう“弱者”とは絶対的な評価ではなく、相対的な順位としてのポジションを指しています
猛獣揃いの麦わらの一味においては、悪魔の実も持たず肉体も普通の人間である彼の強さは正直、それほど高い方ではありません(ゾロとサンジは化物なので例外です)
ランキングをつければアンダー3には入ってしまうでしょう
しかし、そんな彼が一味の戦闘において重要な役割を担うことが多いのも確かです
そげキングとして登場したCP7編、最近ではドフラミンゴに5億の懸賞金を懸けられたドレスローザ編でもめざましい活躍を見せています
そしてなんと、政府からも船長ルフィ、海賊狩りのゾロに次ぐ高さである巨額の2億ベリーの懸賞金をつけられるほどに、その危険度を評価されています
その中でわたしが最もウソップの活躍として記憶しているのは、
スリラーバーク編 VSペローナ(ホロホロの実)戦
です
戦闘に至るまでの流れをサラッと説明すると
敵幹部であるペローナという女の子は、『ホロホロの実』を食べた“霊体人間”として幽体離脱やゴーストを使役し自在に操る能力を持っていました
中でも厄介だった彼女の『ネガティブ・ホロウ』という技はその名の通り「相手をネガティブにする技」で、これにより一味は全滅しかけます
ゾロ、サンジ、フランキー……頼りの仲間達は全員ネガティブになり、生まれてきたことをも謝罪することに
そんななか唯一立ち上がったのが、彼、ウソップだった!
“俺はもともとネガティブだ!”
(作中の台詞 ウソップ)
なんと、元からネガティブ思考であった彼にはこの技は効かなかったのです!
そしてウソップは、一味の存亡をかけて、幽体人間であるペローナと戦闘をすることになったのです
ここからはその戦闘を振り返り、彼の戦いから“弱者”の強さを教えてもらいましょう!
・最悪のシナリオの想定
まず、ネガティブとはどういったことなのか、辞書で調べてみました
“否定的なさま、消極的な”
出典:デジタル大辞泉(小学館)
と。まあ、思っていた通りの意味ですねー。
しかし、この『ネガティブ』という言葉は、なにもマイナスなことだけではありません
少なくとも、戦闘のような一瞬の判断が死を招く状況においては。
だってそれは「最悪の展開を常に想定し、それに対抗する策を即座に考えることができる」ということでもあるのですから!
このスリラーバークの場合、最悪の状態は「仲間が全員行動不能になる」ことでした
スリラーバークでの敵の能力は“一撃行動不能型”が多く、中でも特に厄介なのがこのペローナの“ネガティブホロウ”でした
それに対抗することができたのは、常に最悪な状態をイメージすることができていた——『ネガティブ』な思考回路を持っていた、ウソップだけだったのです
たしかに「なんとかなる精神」でとにかく前に突き進むことができる人は強いです。ですがチームに必ず一人は『危機回避能力の高い』人間は必要です
みんながみんなただ闇雲に突き進むだけでは、船はいつか沈んでしまいます
全員が危機に陥った際、その窮地を救うのは案外、チームで一番の臆病者だったりするのです。
ただ忘れてはいけないのは、ここぞという肝心なところでは勇気を持って戦うことが重要だということです。
勇敢なる海の戦士、ウソップのように。
・劣勢の耐性
そうして一味の最悪の危機を退けたウソップですが、なにも相手の攻撃がすべて効かなかったわけではありません。
霊体を飛ばし爆発させる“ゴーストラップ”や、怪力を持った部下の“クマシー”といった危険の要素はまだまだ残っていました
しかし、そんな状況でウソップを助けたのは“劣勢に対する耐性”であったと思うのです。
考えてみれば、ウソップは今までの戦闘をすべて、
不利な状況を逆手に取ることで勝利を収めてきました。
負傷してゾロに背負ってもらわなければいけなかったからこそ、彼の剣技で木を斬り倒しジャンゴを狙撃することができました
逃げ回ることしかできなかったからこそ、『死んだフリハンマー』で意表を突くことでチュウを倒す算段がつきました
敵の大技『モグラ塚四番交差点』を逆に利用することで、ミスター4&ミス・メリークリスマスを打倒しました
ウソップは「逆境を逆手に取る」「敵の意表をつく」「敵の技を利用する」ことに長けたプレヤーであるということです。
相手の力を利用する、“道”の精神です
これは、幾度もの劣勢を経験し、その度に打開策を絞り出してきた彼だからこその能力でしょう
現にこの対ペローナ戦でも、空島で入手した衝撃を吸収する貝〔衝撃貝(インパクトダイヤル)〕で“ゴーストラップ”の爆発を吸収し、その衝撃を利用してクマシーを倒しています
このように、役に立ちそうなものは欠かさず手に入れておくという用意の周到さも、わたし達が学ばねばならないところです
・自分を大きく見せる
ウソップには、もう一つの人格があります
そう、狙撃の王様“そげキング”です
元々は一味を脱退していたCP9戦で素性を隠して参戦するために(ルフィとチョッパー以外にはばればれでしたが)誕生したキャラクターでありましたが、本体がピンチに陥ったことにより、再登場を果たしました。
もう成す術がなく、打つ手なしと諦めかけたそのとき、その窮地を救ったのがそげキングでした
自分の中にもう一つ人格を作ることで、頭をリセットし、気持ちを切り替えたのです
そこからウソップは持ち前の“逆境の耐性”で身に付いた分析力を活かして、飛び回るペローナは霊体の分身であること、その本体は別の場所にあること、そしてその本体が眠る場所を探り当てます
爆発弾を撃ったかのようにみせ霊体を本体に戻し、トリモチで身動きが取れなくなったところにおもちゃのゴキブリを放ち動揺を誘います
最後はお得意のハリボテハンマー。8tと書かれてはいるものの、実際は風船で作られた虚構の武器です
相手が冷静な状態なら、騙されるはずがありません
しかしそこで、今までに撒いた“種”が効果を発揮します
最悪の相性
爆発を打ち消した能力
吸収した衝撃を放った破壊力
不可思議な仮面
トリックを見破った分析力
動けない体と全身のゴキブリ
そして8tのハンマー
ほとんどがタネも仕掛けも存在する“トリック”である種々の要素が、一つに結ばれ、彼女に虚構を本物と信じ込ませてしまいます
結果、無敵かと思われたゴーストプリンセスであるペローナを、気絶させて戦闘に勝利することができました
一つだけではただの“ハッタリ”や“まぐれ”で終わってしまう様々な嘘を積み重ねることで、大きな真実を作り出す
虚構を本物に変える力
それがウソップの持つ、最大の武器であり能力なのです。
“勇敢なる戦士の戦法”
まとめると
・『危機回避能力』を研ぎ澄ますために、常に「最悪の想定」をしておく
・ここぞというときには勇気と度胸を発揮する
・自分に力が足りないときは、相手の力を利用する
・常に使える武器を探し、身に着けておく
・小さな“種”を撒いて、最後に大きな火をつける
これが、弱者が圧倒的強者に勝つための戦い方です
モノホンの強者にはない思考回路や、“劣勢”における経験値、相手の油断を誘う弱さは、使い方によればどんな強敵をも倒しうる力を発揮します
不利な状況からの土壇場の大逆転が、弱者の見せ場です
これはスポーツでも勉強でも仕事でも、すべてに言えることであり、
あらゆる場面で応用ができる戦法であります
ウソップの戦い方から学んだことを活かして、彼のように“虚構の理想”を“本物の強さ”に変えるのです
勇敢な、弱くとも強い戦士になるために
では、また夢鳥で会いましょう!
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